魔法の紅茶







今日は、大好きなおばあちゃんのところへ行きます。
ちょっぴり早起きをして、クッキーを焼いてみました。
ちょっと不恰好だけど、おばあちゃんならきっと喜んでくれるはず。
おいしいって言ってくれるかな?

おばあちゃんのおうちへ行くと、いつもいろんな香りの紅茶を出してくれます。
フランボワーズ、ダマスクローズ、オレンジジンジャー。
春にはさくら、夏にはマスカット、秋にはいもくり?
その時その時のわたしの様子を見ながら、紅茶を淹れてくれるおばあちゃん。
おばあちゃんと一緒にいると、すごく落ち着くし、自然と笑顔になれます。
わたしの大好きなおばあちゃん。


子供の頃、何人かの男の子にいじめられて、泣きながらおばあちゃんのおうちに行った時のこと。
おばあちゃんは優しい香りの紅茶を淹れてくれました。
あま~い、バニラショコラの紅茶。

「これは魔法の紅茶だよ。」

「魔法の紅茶?」

「そう、これを飲むと優しい気持ちになれるんだよ。」

温かい紅茶の香りは、自然と心をほぐして、気持ちを穏やかにしてくれました。
いつの間にか涙も止まっていました。
そんな、おばあちゃんの魔法の紅茶。


今日はとびきりハッピーな笑顔で、おばあちゃんのおうちへ向かいます。
どんな魔法の紅茶を淹れてくれるのかな?
だって今日は、大切な人とふたりなんだもの!