魔法の天の川







今日は雨。
あなたに逢える大切な日なのに、どうして雨なのかしら…。
溜息ひとつ。
晴れたら天体観察しようねって、約束してたの。
夕方には上がるらしいけど、そのあとの予報は曇りだしね。

朝からずっと、天気予報とにらめっこ。
ん~、このお天気予報…変わらないかしら。
そんな事を思いながら、あなたにメール。
『お仕事頑張ってね♡』
そして即レス。
『おう!楽しみに待っててね♡』
うふっ、なんかうれしい。
あなたがお仕事頑張ってるんだもの。
わたしも頑張らなくちゃ!

そして夜。雨はまだ止まない。
ピンポーンってチャイムの音が鳴って、あなたが帰ってきた。
「開いてるよ~!」そう言いながら、わたしは慌てて照明を消した。

「ひゃあ~、折角の七夕様なのに、雨上がってくれないねぇ~。」

ネクタイを緩めながら、あなたがリビングのドアを開けた。

「あれ~?なんで電気点けてないの?」

そう言った瞬間、わたしはリモコンのスイッチを押した。
途端にお部屋の中があおい光に包まれて、足元には天の川が広がった。

「うわぁ~!なにこれ?マジすげぇ!!」

あなたは驚きながらも、目をキラキラ輝かせて、まるで子供のようにはしゃいだ。
やたっ!

「彦星様、お待ちしておりました。」
「今宵は雨でどうなることかと案じておりましたが、お逢いできて光栄です。」
「どうぞこの川を渡って、わたしを抱きしめてくださいませ。」

「いや~、ホントおまえって面白いことするねぇ~。」

「え~!?そんな受け答えじゃあ、ムードも何もないじゃな~い!!」

わたしがプンプンってそっぽを向くと、後ろからふわって抱きしめられた。

「冗談だよ、俺の織姫様。」
「待たせてごめん…。」

そ、そ、そんなのずるい…!
耳元でそんな風に囁かれたら、溶けちゃうじゃないの…。


お外では、いつの間にか雨が上がって、満天の星空になっていたとか。
遠く離れた恋人さんたちも、この星空を見上げて、心優しく過ごせるといいですね。
そんな奇跡が起きてもいいのではないかと思える、七夕の夜なのであります。



あ…そうそう、種明かし。
リビングの床一面にあおのLEDを張り巡らせて、中央横一直線に、カスミソウの鉢植えを並べるの。
そして、鉢植えと鉢植えの間には白いLEDを置いて仄かにライトアップ。
天井にはプラネタリウムをプロジェクターで映して、簡易的な宇宙空間の出来上がり!かな。
どうだ!えっへん(笑)