魔法のお天気予報・2







~今日は、曇りのち晴れ。夜には星が降るでしょう。~


「ホントに!?」

わたしはバタバタとテレビに走り寄って、お天気お姉さんに訊いた。
あまりの形相にびっくりしたお姉さんは、身を引きながら苦笑いして応えてくれた。

~うちの天文部の正確さは類を見ないくらいだから、大丈夫だとおも……ぐえっ…。~

わたしはお姉さんが言い終わらないうちに、満面の笑みでテレビを抱きしめていた。

「そっか。うわぁ嬉しい!ありがとう、お姉さん!」

お姉さんは目を回しながらなされるがまま。大好き、お姉さん!


早速同僚にメール。
『今夜は星が降るから会社休む~!上司にはうまく言っといてねぇ~♡』
これでOK!
そして水筒にココアを入れて車を走らせた。


目的地はひとつ。以前彼と行った高原だった。
暑い夏。ちょっと涼みに行こうか?って言われて連れて行ってもらった場所。
林の散策。川原の水遊び。
あんまり楽しくて、気が付いたら夜になっていた。
そろそろ帰らないと…って思って彼を見たら、彼は空を見上げていた。

「ほら、見てごらん。満天の星が、僕たちを歓迎しているよ。」

そんな彼の言葉に夜空を見上げると、漆黒の闇にゆらゆら揺れる沢山の星たちが、まるで合唱でもしているように瞬いていた。

「うわぁ…。うわぁ…、すごいね……ぇ。」

わたしは言葉を失った。
今までに見たことのない輝きを放つ星たち。
この手に掬えるのではないかと思えるくらいの沢山の星。
そして星の声。
体がふわぁっと浮き上がって、吸い込まれてしまいそうな錯覚を覚える。
彼の袖をそっとつまむと、彼が手を握り返してくれた。
このままふたりで星の声を聴きながら、静かな時間が流れてくれたらいいと思った。

その時、ひとつの星が左右に大きく揺れて、シュゥ~って落ちてきた。
それにつられて、周りにあった星たちも次から次へと落ちてくる。

「あ、星が落ちた…!」

わたしは思わず手を差し出した。
彼は苦笑いしながら、わたしに手を差し伸べた。

「流れ星だよ。今日は流星群の日だったんだねぇ~。」

彼からのサプライズ。
天文好きの彼が、流星群の日をチェックしてないわけがないもの。

後から思い出したけど、あの時あまりに星がきれいだったので、流れ星にお願い事してなかったのよね。
だから今度星が降るときは、お願い事をしようと思ってた。

『あの時お願い事をするのを忘れてしまったので、もう一度流れ星が見られますように。』

ってね!


今夜は星が降る。
やっと、願いが叶えられるかもしれない。
わたしはどきわくで車を走らせた。
あの高原に向かって―。




~あのぉ~、、、星が降る=流れ星だから、そのまま願い事言っときなはれ~^^;~